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建設アスベスト神奈川訴訟(第2陣)10/24横浜地裁で国・建材メーカーの責任を問う6度目の勝利判決!

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速報です。24日午後3時、建設アスベスト訴訟第2陣横浜地裁判決があり、国に責任を6たび問う勝利判決が出ました。建材メーカーの責任についても断罪した判決となりました。

 

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首都圏建設アスベスト訴訟弁護団の声明(全文)
声    明
2017年10月24日
首都圏建設アスベスト訴訟原告団
首都圏建設アスベスト訴訟弁護団
首都圏建設アスベスト訴訟統一本部

1 国・建材メーカーらに勝訴
建築現場における作業を通じて石綿粉じんに曝露し、中皮腫や肺ガンなどの石綿関連疾患を発症した被災者及びその遺族が、国と石綿含有建材製造企業(以下、「建材メーカー」という。)を訴えていた建設アスベスト訴訟において、横浜地方裁判所第2民事部(大竹優子裁判長)は、2017年10月24日、国に対しては総額約2億6000万円、建材メーカーである被告ニチアスに対しては合計約1800万円、被告ノザワに対しては合計約9000万円の支払を命じる判決を言い渡した。
国の国家賠償法上の損害賠償責任は、既に5つの地裁判決で認められているが、本判決によって、建設アスベスト訴訟が闘われている6地裁全てで、国の責任が認められるところとなった。また、建材メーカーの損害賠償責任は、これまで昨年1月29日に言い渡された京都地裁判決において認められていただけであったが、京都地裁判決に続いて本判決でも建材メーカーらに損害賠償が命じられたことは、全国各地で争われている建設アスベスト訴訟の趨勢に大きな影響を与えるものである。

2 国の責任
(1)労働関係法令に基づく規制権限不行使の違法性について
判決は、石綿粉じんに曝露することで、1958年3月31日頃の時点で、石綿肺を発症することについて、1972年頃の時点で、中皮腫、肺ガン、びまん性胸膜肥厚及び良性石綿胸水を発症することについて、いずれも医学的知見は確立していたと認定した。そして、1974年頃までには、建築現場における石綿粉じんばく露作業によって、建設作業従事者が石綿関連疾患を発症する危険性を認識できる状況にあったと判断した。
その上で、泉南アスベスト国賠訴訟最高裁判決において示された、労働者の生命や健康を保護するための労働関係法令に基づく規制権限は「適時かつ適切に」行使されなくてはならないとの法理に則り、国の労働関係法令に基づく規制権限の不行使について、以下の点に違法性を認めた。
ア 1976年1月1日の時点で、事業主に対し、その雇用する労働者を石綿含有建材を切断する等の作業に従事させるに際し、労働者に防じんマスクを着用させることを罰則をもって義務付けなかった点。
イ 1976年1月1日の時点で、石綿含有建材への警告表示や建築作業現場における警告表示(掲示)の具体的内容として、石綿粉じんが肺ガンや中皮腫などの重篤な疾患を生じさせるものである旨を明示した上で、石綿粉じんを発散させる作業を行う際には、必ず防じんマスクを着用するよう明示することを義務付けなかった点。

(2)一人親方・事業主に対する責任について
判決は、労働関係法令に基づく国の規制権限不行使について違法性が認められる場合においても、労働関係法令が保護の対象としているのは労働者のみであるとしたが、「労働者」に該当するか否かは、労務提供の形態(指揮監督下の労働といえるか否か)、報酬の労務対償性等を総合考慮して、個別に判断することとなるとした。そして、原告らのうち、労働者性に争いのある者について、必要な限度で個別具体的な検討をおこなったが、労働者性が認められた者はいなかった。
もっとも、判決は、建材メーカーの責任を認めることで、「労働者」に該当しない一人親方等についても救済の道を開いた。これは、本判決の重要な意義である。

(3)損害賠償額、減額要素
判決は、各被災者に生じた損害に応じて、石綿関連疾患による死亡の場合は2700万円、中皮腫、肺ガン及びびまん性胸膜肥厚の場合は2400万円、石綿肺(管理区分3)で合併症ありの場合は2100万円、石綿肺(管理区分2)で合併症ありの場合は1800万円、良性石綿胸水の場合は1200万円の慰謝料を認めた。
その上で、国の規制権限の行使は二次的、補完的なものであることを理由として、各被災者について認められた慰謝料の額から3分の1に減額し、労働者として石綿粉じんばく露作業に従事した期間の長さが基準に満たない者や肺ガンに罹患した者の内、喫煙歴を有する者については10%の減額の調整を行い、国に対して支払いを命じる損害賠償額を算出し、判決別紙記載の金額の賠償を国に命じた。

3 建材メーカーらの責任
判決は、建材メーカーらは,当時の新聞報道,建築現場への訪問や取引先であるゼネコン等との協議・情報交換により,遅くとも1974年ころには,建築現場における粉じん発生状況や,呼吸用保護具の着用等の粉じん暴露防止措置が十分に執られていない状況を認識し得たとして,外装・包装等に記載する注意事項の具体的内容を変更することに必要な期間を考慮しても,遅くとも1976年1月1日までには,建材メーカーらには、石綿の人体に対する危険性を警告する義務があったにもかかわらず、建材メーカーらがかかる警告義務を怠ってきたことを認めた。
そして、判決は、建材メーカーらの責任について、結果発生の危険性を有する加害行為が被害者に到達していることの高度の蓋然性が認められるならば、民法719条1項後段の類推適用の成立を認めることができるとした上で、建材の製造時期や各建材との関係での建築現場での作業内容に照らした石綿粉じん発生の危険性と石綿関連疾患発症の原因となった可能性などから加害企業を特定できた被害者との関係で、建材メーカーらに民法719条1項後段の類推適用による共同不法行為の成立を認め、損害賠償を命じた。

4 本判決の意義と私たちの求めるもの
建設アスベスト訴訟は、全国6つの地裁に集団訴訟が提起され、2012年12月5日の東京地裁判決以降、5つの地裁で国の責任を断罪する判決が、連続して言い渡されてきた。
本判決は、これに続いて6度にわたり、建設作業従事者のアスベスト被害に対する国の加害責任を断罪するものとなり、これによって国の責任を認める司法判断は、不動のものとして確立されたのである。
一方、昨年1月29日に言い渡された京都地裁判決は、一定以上のシェアを有する建材メーカーに対し、初めて損害賠償を命じた判決として大きな注目を集めたが、本判決は京都地裁判決に続いて、各被災者との関係で、石綿関連疾患発症の原因となった蓋然性が認められる主要曝露建材の建材メーカーに対し、損害賠償を命じた。また、その他の建材メーカーらについても、疾病罹患の可能性について認識しながら、適切な警告を怠った責任を明確に認めている。これにより、建材メーカーらの損害賠償責任を認める司法判断の大きな道筋ができたと評価することができる。
したがって、東京地裁判決から数えて6連敗となった国と、京都地裁判決に続いて重大な判断を突きつけられた建材メーカーらは、本判決を真摯に受け止め、今こそ建設アスベスト訴訟の早期全面解決と建設アスベスト被害者補償基金制度の創設を決断すべきである。

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